セキュアエレメントをハッキングできるのは誰か?一般ユーザーが心配する必要はほぼありません

セキュアエレメントは研究室で突破された事例がありますが、それがすぐに仮想通貨のリスクになるとは限りません。

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Patrick Dike-Ndulue
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これまでのシリーズ記事を読んだ方は、少し不安になるような研究も目にしたかもしれません。レーザー故障注入、電磁的なサイドチャネル攻撃。商用最高水準のセキュリティ認証を受けたチップが学術研究者によって突破された事例もあります。

「自分のハードウェアウォレットも実は安全じゃないのでは?」と感じる方もいるかもしれません。しかし、この記事で問いたいのはシンプルな疑問です。現実的に、セキュアエレメントに直接攻撃を仕掛ける手段と動機を持つのは誰なのか? 

 

攻撃が「可能」であることと、「リスクがある」ことは同じではありません。理論上、空き巣はグラインダーで玄関のドアを切り開くこともできますが、それを毎回心配する必要はありません。

セキュアエレメントを突破するには

公開されている研究で示されたセキュアエレメントへの高度な直接攻撃(レーザー故障注入や電磁サイドチャネル解析)には、共通するいくつもの条件があります。これらを並べて見ると、全体像が大きく変わります。

充実した設備のある研究室

レーザー故障注入には、精密レーザー、ミクロン単位で位置調整できる顕微鏡、三軸モーター制御ステージ、オシロスコープ、制御用電子機器などを備えた専用ステーションが必要です。こうした設備は10万〜25万ドル(約1,500万〜3,800万円)かかり、専用の研究室に常設されています。持ち運びはできず、自宅などに持ち込むこともできません。 

 

長年の専門知識

レーザーを照射する前に、まずチップの樹脂パッケージを濃硫酸や精密な切削装置で除去し、顕微鏡下でカスタム基板にマウントする必要があります。この作業だけでも数時間かかり、半導体の取り扱いに関する訓練が求められます。

電磁サイドチャネル攻撃はやや侵襲性が低いですが、チップ表面に近接EMプローブを正確に配置し、高速オシロスコープや数千回分の署名操作を記録して統計解析を行う必要があります。いずれも長時間の物理的アクセスと高度な計算作業が必要です。

これらは偶発的に発生するものではなく、計画的かつ多日間にわたる研究室レベルの作業です。
 

チップごとに数か月の準備

研究論文で報告されている全ての攻撃は、対象チップごとに数か月の開発期間が必要でした。あるチップ用に開発した攻撃手法は、別のチップにはそのまま使えません。 

特定のハードウェアウォレットを攻撃するには、機材だけでなく、そのチップ専用の研究や準備もすでに終えているか、今から数か月かけて行う必要があります。

物理的な現物の入手

セキュアエレメントへの直接的な物理攻撃は、攻撃者が実際にデバイスを持っている必要があります。特にレーザー故障注入の場合、チップのパッケージは完全に除去され、元に戻せません。

誰かが一時的にあなたのハードウェアウォレットを借りて、レーザー攻撃を行い、何事もなかったかのように返す――そんなことは不可能です。自分のウォレットが手元にある限り、レーザー攻撃は行われていません。遠隔や短時間、気付かれずに行われることはありません。

誰がSEをハッキングできるのか

その手段・知識・動機を持ち、実際に狙うのはどのような存在でしょうか?

1. 政府の情報機関

国家レベルの情報機関は、こうした研究室インフラや予算、専門知識を持ち、セキュアエレメントへの高度なハードウェア攻撃も可能です。これらの機関は、ハードウェアの傍受やバックドアの仕込み、暗号デバイスの物理解析などのプログラムも有しています。

しかし、情報機関が狙うのは特定のターゲットです。無差別に全員のハードウェアウォレットを調べることはありません。もしそのような調査対象になった場合、the government has tools far more efficient than laser fault injection at its disposal: legal compulsion to produce keys, seizure of assets through judicial process, and, in some jurisdictions, wrench attacks。

 

2. 専門の学術・商業セキュリティ研究機関

このシリーズで紹介した攻撃を発表した研究機関(NinjaLab、Ledger Donjon、Fraunhofer AISEC、大学チームなど)は、これらを実行する能力を持っています。彼らの動機は、ハードウェアセキュリティ分野の知見を深め、メーカーへ責任ある脆弱性開示を行い、研究コミュニティで評価されることです。

こうした研究者たちは、あなたの仮想通貨を盗むためではなく、脆弱性を発見・開示し、メーカーが修正できるようにすることを目的としています。
 

3. 資金力のある犯罪組織

半導体解析装置を持つ本格的な犯罪組織であれば、理論上これらの攻撃を金銭目的で行うことも可能です。ただし、事前に特定の個人が十分な仮想通貨を保有していると知っている必要があり、その個人のデバイスを長期間物理的に入手し、かつそのチップ専用の攻撃手法をすでに開発している必要があります。

これは、非常に多額の仮想通貨を持ち、物理的なセキュリティが甘く、保有が公になっている場合には不可能ではありませんが、一般のユーザーには経済的に割に合いません。

まとめ

物理的なセキュリティについて考えてみましょう。玄関の鍵も、熟練の鍵師や特殊な工具があれば開けられますが、それだけで家が危険というわけではありません。鍵の役割は、偶発的な侵入者を防ぐことであり、その目的は十分に果たしています。
 

特殊な道具と明確な目的を持つプロフェッショナルによる侵入は、住宅用の鍵が想定していない脅威であり、大多数の人が一生直面しません。
 

セキュアエレメントも同じです。現実にユーザーが直面する脅威――チップに直接触れられないリモートハッカー、接続されたPC上のマルウェア、落とし物を拾った盗難犯――に対して強力に機能します。こうした脅威には、認証済みセキュアエレメントが非常に高い防御力を発揮します。

裁判所命令と半導体ラボを持つ政府機関が相手の場合、そもそもセキュアエレメントは勝つことを想定していませんし、そのような主張もしていません。

国家レベルで「あなた」を明確に標的とする場合、技術的な防御策で対応できることはごく限られています。

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著者 Patrick Dike-Ndulue

Senior editor covering crypto, onchain equities, and technology.

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レビュー担当者 Rukkayah Jigam

Writer & editor covering digital assets and product updates.