2026年版・仮想通貨を本当に失う原因とは?
シードレスウォレットを3年間使って分かった、仮想通貨を失う本当の理由。
私は約6年間、YouTubeでハードウェアウォレットに関する情報を発信してきました。その間、多くのウォレットをレビューし、比較を行い、コメントやメール、コミュニティを通じて多くの方とやり取りしてきました。そして、繰り返し見られる共通点があることに気づきました。
多くの方が仮想通貨を失うのは、高度なハッキングやセキュアエレメントの故障が原因ではありません。ほとんどの場合、シードフレーズの扱いに関するミスが原因です。
何年も繰り返されるパターン
私は日々、仮想通貨ウォレットのアクセスを失った方々から、メールやコメント、メッセージで相談を受けています。エピソードはさまざまですが、共通しているのは、ほとんどがシードフレーズに関するミスです。
紙に書いたシードフレーズを紛失してしまった方もいれば、偽サイトにシードフレーズを入力して騙された方もいます。
スマートフォンのメモアプリにシードフレーズを保存していた結果、端末が盗難・ハッキングされて資産が流出したケースも多く見られます。
また、ネット上の偽サポートにシードフレーズを誤って伝えてしまったという報告も複数あります。これらは、仮想通貨のセキュリティを脅かすミスの一例に過ぎません。
このパターンは何年も続いています。Chainalysisが毎年発表している仮想通貨損失の原因レポートでも、シードフレーズのミスが最も多いカテゴリーとして挙げられています。詳しいデータはCrypto Crime Reportで確認できます。
Tangem Walletを使い始めた理由
私がTangemを使い始めたのは約3年前。従来の24単語のシードフレーズを守る必要がなく、カード内のセキュアエレメントで秘密鍵を生成し、同じカードを複数枚バックアップとして持てるという新しい仕組みに魅力を感じたからです。1枚紛失しても、残りのカードで引き続き利用できます。
紙のメモを盗まれたり、偽フォームに単語を入力して騙されたりするリスクがありません。よくある損失パターン自体が発生しにくいのです。
もちろん、Tangemでも他のウォレットとの互換性が必要な場合や従来の方法を好む場合は、シードフレーズの利用も選択できます。ただ、標準設定はシードレスであり、この「デフォルト」が重要だと考えています。多くの人は初期設定を変更しません。デフォルトで主な損失リスクを防げるなら、大きなメリットと言えるでしょう。
知っておくべきトレードオフ
おすすめするウォレットには必ずメリット・デメリットがあります。シードレス型カードウォレットにも当然トレードオフがあります。
画面(ディスプレイ)がない
カードウォレットには画面がないため、取引内容はスマートフォンの画面で確認します。もしスマートフォンが乗っ取られた場合、理論上は表示されているアドレスと実際に署名されるアドレスが異なる可能性があります。実際、私が知る限りこのリスクによる損失は現時点で報告されていませんが、技術的なリスクとしては存在します。Tangemを紹介する際も、動画内で必ずこの点に触れています。
TangemのCTOであるAndrey Lazutkin氏は、この指摘に対して「Tangemアプリは署名前にすべての取引内容をデコードして表示するため、本当の意味での“ブラインド署名”ではない」と反論しています。
また、ハードウェアウォレットの画面も、スマートコントラクトの内容をチップが解析できる範囲でしか表示できず、DeFi取引などではスマホ画面と情報量に大差がない場合も多いとのこと。さらに、ディスプレイ部品のサプライチェーン攻撃リスクも、画面がない設計なら完全に回避できます。これまで実際に被害が出ていないリスクよりも、毎日のように発生しているリスクを優先して考えるべきだと私は思います。
Tangemはアプリ自体のセキュリティも強化しています。TangemアプリはGitHubでオープンソース公開されており、誰でも取引データの表示部分を確認できます。2026年には、独立系セキュリティ企業Cure53が、6名の上級研究者による23日間のホワイトボックス監査を実施しました。
さらに、アプリにはBlockaidのトランザクションシミュレーション機能も搭載。すべての取引が署名前にオフチェーンでテストされ、実際の残高変化や隠れた承認、コントラクト呼び出し内容が分かりやすくプレビュー表示されます。WalletConnect利用時には、Verified Transactions(VTX)によってそのプレビュー内容が実際のオンチェーン実行と暗号的に紐付けられ、見えている内容と署名内容にズレが生じません。
物理的な紛失リスク
物理的な紛失リスクもあります。セット内のすべてのカードを失い、かつオプションのシードフレーズバックアップを有効にしていなかった場合、資産は失われます。複数カードの仕組み自体がバックアップなので、カードは必ず別々の場所に保管する必要があります。これは、シードフレーズの紙を守るのとは異なる責任ですが、現実的な注意点です。
どんなウォレットにも完璧はありません。自分がどのリスクを許容するかを選ぶことになります。私は、全体の資産損失リスクを下げられる選択肢を選びたいと考えています。リスクを全体的に下げることが最も合理的だと思うからです。
ウォレット選びで最も大切なこと
6年間の経験を通じて、私の結論はシンプルです。どのウォレットを選ぶかよりも、自分がどのリスクにさらされるかの方が重要です。仮想通貨を失う最大の理由がシードフレーズのミスであるなら、そのリスクを根本から排除できるウォレットを選ぶのは、多くの人にとって合理的な選択肢だと思います。
もちろん、シードレスだけが正解というわけではありません。シードフレーズを自分でしっかり管理でき、他のソフトウェアやハードウェアウォレットに資産を移したい方には、従来の方法が合っています。自分の運用スタイルに合ったものを選べば良いのです。
ただし、多くの方、特にセルフカストディ初心者や「自分はいつかミスをするかも」と感じている方には、シードレス型の仕組みが最も多い損失原因を根本から防いでくれます。だからこそ、私も一部の長期保有資産にはシードレスウォレットを使っています。
それは「最先端の技術」だからではありません。他の多くの方が繰り返し直面しているリスクから、自分の資産を守れるからです。
執筆:Nordic Crypto(Tangemとのパートナーシップ記事)。Tangemのシードレスウォレットは、何千人もの仮想通貨投資家の資産保護に役立っています。ハードウェアウォレットのレビューや比較は、YouTubeチャンネルやnordiccrypto.ioでもご覧いただけます。