暗号資産の完全希薄化後時価総額(FDV)とは?

完全希薄化後時価総額(FDV)は、暗号資産の世界における重要な指標であり、投資家がプロジェクトの潜在的な市場価値を理解するのに役立ちます。FDVは、存在しうるすべてのトークンが流通している場合の暗号資産の合計時価総額を表します。

これには、現在流通しているトークンと、ロック中または今後放出予定のトークンなど、まだリリースされていないトークンが含まれます。FDVを計算することで、投資家はプロジェクトの長期的な価値を評価し、潜在的なリスクを特定し、詳細な情報に基づいた決定を下すことができます。この記事では、FDVの仕組みと暗号資産の世界における重要性について説明します。
 

完全希薄化後時価総額(FDV)とは?

FDVとは、流通しているすべてのトークンを考慮した場合の、暗号資産の全体的な価値です。この指標は、株式市場で発行可能な株式の総数を考慮する場合と同様に、投資家が暗号資産プロジェクトの将来性を評価するために使用されます。
 

完全希薄化後時価総額(FDV)はなぜ重要なのか?

すべてのトークンが流通していると仮定すると、暗号資産プロジェクトの価値はFDVで表されます。この指標を使うことで、投資家はプロジェクトをより広い視点で見ることができます。
 

ほとんどの暗号資産プロジェクトで流通しているトークンの総数は、変動する可能性があります。例えばマイニングや、ステーキングまたは流動性提供に対する報酬、権利確定トークンのリリース、新トークンのミントなどを通じて、流通総数が増加します。逆にトークンがバーン(焼却)されると、流通しているトークンの総数は減少します。
 

昨今では、ローンチ時にトークンの最大供給量のごく一部をリリースすることが一般的です。流通中のトークンは多くないため、これらのプロジェクトは、現在の時価総額とファンダメンタルズを考慮すると「過小評価されている」と考えられます。
 

しかし、トークンのリリースに応じた需要の増加がない場合は、より多くのトークンが市場に投入されるにつれて、トークン価格が低下し始める可能性があります。こうした供給の潜在的な変動を考慮しない投資家は、追加のトークンが市場にリリースされたときに損失を被るかもしれません。投資前にトークンのFDVを分析することで、このような状況を防ぐことができます。
 

完全希薄化後時価総額(FDV)の計算方法

FDVは、流通しているトークンだけでなく、トークンの全供給量を考慮に入れます。トークンの全供給量は、プロジェクトが公開しているホワイトペーパーや、CoinGeckoのトークノミクスページで確認できます。また、トークンのスマートコントラクトの詳細からも、この情報を得ることができます。
 

暗号資産プロジェクトの完全希薄化後時価総額(FDV)は、トークンの全供給量にトークン1枚あたりの現在価格を掛けて計算されます。

 

完全希薄化後時価総額(FDV) = トークン価格 × 総供給量

 

バーン(焼却)されたトークンを除いて、総供給量は現在流通しているトークンと未流通(リリース待ち)のトークンの両方で構成されます。 これは株式市場の発行済み株式総数に似ています。暗号資産の時価総額は、バーンされたトークンを除くすべてのトークンが存在すると仮定して、完全希薄化後時価総額(FDV)を使用して計算されます。
 

FDV vs 時価総額

完全希薄化後時価総額(FDV)と時価総額(MC)には、いくつかの重要な違いがあります。

流通中のトークンの数と、現在の価格によって暗号資産の時価総額(MC)が決まります。トークンへの需要が増加すると、トークン価格の上昇と時価総額の増大につながる可能性があります。
 

FDVと時価総額(MC)の違いを数学的に調べてみましょう。

 

トークン価格 x 流通供給量 = 時価総額(MC)

トークン価格 x 総供給量 = 完全希薄化後時価総額(FDV)

 

すべてのトークンが流通しており、取引所で売買できる場合、トークンの総供給量は流通供給量と等しくなります。この場合、FDVと時価総額(MC)は同じです。


FDVは、予想される将来の価値を示します。時価総額が小さいプロジェクトは、トークンの大部分が近い将来市場にリリースされるケースが多いです。これらのトークンがリリースされた場合、プロジェクトの時価総額はFDVと同じになります(需要変数を無視した場合)。プロジェクトがこの推定額(FDV)の価値があるか判断するのは、投資家次第です。
 

まとめ

FDVは、効果的に使用すれば、投資家がプロジェクトのパフォーマンスを予測するのに役立つ有用な指標です。トークンのリリーススケジュールによっては、未流通のトークンがリリースされるまでに何ヶ月もかかる場合があります。その期間中にトークンを保有するつもりの場合は、この追加的な供給が各トークンの価格に与える影響を考慮すべきでしょう。
 

暗号資産のFDVが非常に高い場合、追加トークンがロック解除されると、トークンの価格が下がる可能性があります。一方、プロジェクトに強固なファンダメンタルズと持続可能なトークンリリーススケジュールがある場合、FDVは過剰評価ではないかもしれません。
 

通常、暗号資産プロジェクトは、トークノミクスについて詳しく説明を行います。これらの説明には、トークンの最大供給量と流通量、流通トークンの分布、今後のトークンリリーススケジュールに関する情報が含まれています。これらの詳細は非常に重要であり、プロジェクトの時価総額に影響を与えるので、投資前に確認することを推奨します。