シードフレーズはブルートフォース攻撃の脅威になる?
ブルートフォース攻撃とは、パスワードや暗号鍵などの機密情報を推測するために、あらゆる組み合わせを総当たりで試すサイバー攻撃手法です。
この攻撃は、正しい組み合わせが見つかるまで全パターンを試すという単純かつ力任せの方法であり、十分なセキュリティ対策がないシステムでは効果を発揮する場合があります。
しかし、シードフレーズは現代の基準でも非常に高い安全性を持っています。2048語から選ばれる12語または24語のシードフレーズは、正しい語順と組み合わせを特定するのはほぼ不可能です。とはいえ、毎年コンピューターの性能は向上しています。将来的に量子コンピューターを使ったハッカーがシードフレーズをブルートフォースで突破できる可能性はあるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
シードフレーズとは
シードフレーズ(またはニーモニックフレーズ、リカバリーシード)は、特にBIP-39(Bitcoin Improvement Proposal 39)標準に準拠した仮想通貨ウォレットで重要な役割を果たします。これはウォレット内の暗号鍵をバックアップ・復元するための単語の並びです。
通常は12語、18語、24語で構成され、ウォレットの秘密鍵を人間が読み取れる形で表現しています。ウォレットの初期設定時に生成され、利用者はこのフレーズをオフラインかつ安全な場所で保管するよう指示されます。
仮想通貨ウォレットの安全性は、シードフレーズの保護に大きく依存しています。誰かがシードフレーズにアクセスできれば、資産を自由に動かせてしまいます。
ブルートフォース攻撃でシードフレーズは突破される?
シードフレーズは非常に複雑で、膨大な組み合わせ数があるため、ハッキングに対して極めて強固です。ブルートフォース攻撃が現実的でない理由について、Redditユーザーのmatejcik (u/matejcik)による試算を紹介します。
現在、仮想通貨ユーザーは約5億人いると仮定します。各ユーザーが12語のシードフレーズを持っているとすると、全ての12語の組み合わせを総当たりして空でないウォレットを見つけるには、約340,282,366,920,938,463,463,374,607,431回(3.4×10^29回)の試行が必要です。
mempoolによると、Foundry USAマイニングプールのハッシュレートは162EH/s(162×10^18ハッシュ/秒)で、単一目的のスーパーコンピューターとして世界最大級です。ビットコインのマイニングに特化しており、従来のスーパーコンピューターをこの分野で上回ります。
24時間で40ブロックを採掘し、1日あたり252BTCの収益があります。
シードのブルートフォースには、通常のマイニングよりも2,000倍以上の計算が必要です。仮に同じハードウェアを使った場合、162EH/sを2,000で割ると、81Pseeds/s(81×10^15シード/秒)となります。
3.4×10^29回の試行を81×10^15シード/秒で割ると、1つのシードを見つけるのに約40億秒、つまり133年かかります。
仮に非常に裕福な個人がFoundry USAの100倍の専用ハードウェアを購入し、1年間だけ特定のシード(たとえばあなたのもの)を狙ってブルートフォースを行ったとします。
この作業には、1日40ブロックまたは250BTCの収益を犠牲にする必要があり、その多くは膨大な電力コストに消えます。
結論として、128ビットのシードをブルートフォースで突破するのは現実的ではなく、今後もほぼ不可能です。
量子コンピューター時代のブルートフォース攻撃リスクは?
量子コンピューターは暗号技術に大きな変革をもたらす可能性があり、現在の標準が容易に破られる懸念もあります。すでに一部の大手プラットフォームでは量子ビット搭載サーバーの提供も始まっています。
では、量子コンピューターが仮想通貨のブルートフォース攻撃に使われるまで、どれくらいかかるのでしょうか?また、実際にどのような安全上の懸念があるのでしょうか?
実は、シードフレーズのブルートフォースは「暗号を破る」こととは異なり、量子コンピューターが得意とする分野ではありません。量子アルゴリズムによって難易度が下がるとはいえ、その効果は限定的です。
理論上、難易度は128ビットから64ビットに下がる可能性がありますが、それでも必要な量子コンピューターの規模は非常に大きくなります。さらに、各試行は従来型よりもはるかに遅くなり、ハードウェアを増やして補うことも現状では困難です。
64ビット規模の難易度は「理論上は突破可能」ですが、コストや手間を考えると現実的ではありません。量子コンピューターによるシードフレーズのブルートフォースは「基本的に割に合わない」と言えます。
まとめ
ブルートフォースによるシードフレーズや秘密鍵の突破は、現実的な脅威ではありません。個人や企業が膨大な資金と技術を投入しても、実際に仮想通貨ウォレットをブルートフォースで攻略するのは極めて非現実的です。
仮に量子コンピューターが実用化されても、シードフレーズのブルートフォースよりもビットコインなどのマイニングに使った方がはるかに効率的で利益も大きいでしょう。
シードフレーズを安全に保管するには
ブルートフォースによるリスクよりも、シードフレーズの保管・管理方法にこそ注意が必要です。シードフレーズは資産を守る唯一の壁であり、うっかり漏洩したり、危険な端末に保存してしまうケースが多く見られます。
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