
2025年の暗号資産弱気相場:いつまで続く?
2025年の弱気相場は今後も続くのでしょうか?市場の下落の原因と回復がいつ始まるかを考察します。

一般的な考えに反して、「弱気相場」は暗号資産の価格が数日間下落するだけではありません。それは、暗号資産の価格が数週間、数か月、あるいは数年間にわたって下落し続けることです。ジェットコースターのように途中で小さく上昇するものの、全体的な方向としては下降し続けます。
暗号資産の弱気相場とは?
従来の金融市場では、価格が最近の高値から少なくとも60日間で20%以上下落すると、正式に「弱気相場」が始まります。基本的には、暗号資産もこれと同様の定義に従いますが、ボラティリティ(市場変動率)はより高くなります。
暗号資産の弱気相場を見分ける方法
暗号資産の弱気相場の兆候を探すとき、いくつかのことに気づくかもしれません。
価格下落とテクニカル指標
20%の下落は最初の危険信号ですが、暗号資産の自然なボラティリティを考えると、もう一段階の確認が必要です。ビットコインの2025年の弱気相場は、1月の高値から28%下落し、2025年2月までに109,350ドルのピークから78,000ドルに下落した後に明らかになりました。投資家は、以下のテクニカルサインにも注目しています。
200日単純移動平均は、強気相場と弱気相場の境界として機能します。2025年2月下旬にビットコインがこのラインを下回ったとき、弱気相場に入ったことが確認されました。一方、相対力指数(RSI)(売買圧力を測定するツール)は20に低下し、トレーダーの間で極度の悲観主義が見られました。通常、RSIは30を下回ると「売られすぎ」の状態を示します。
取引量の変化も、1つの視座を提供します。 2025年の市場下落時には、投資家が市場から撤退したため、世界の暗号資産取引所における現物取引量は2兆1,400億ドルから1兆7,300億ドルへと大幅に減少しました。
市場センチメントと行動の変化
市場のセンチメント(感情)を測定するツールである「恐怖・強欲指数(Fear and Greed Index)」は、2025年1月の53(中立)から、2月にはわずか20(恐怖)に急落しました。この急落は、暗号資産市場で投資家のセンチメントがいかに急速に変化するかを反映しています。
SNS投稿の活発さは、市場心理に対する新たな視点を提供します。X(Twitter)とRedditでは、否定的なコメントが市場下落時期に増加し、かつての熱狂的な投資家は悲観的になりました。
興味深いことに、このような下落時期には長期投資家が増加します。弱気市場で頻繁に発生するこのパターンは、一般的な投資家がパニック売りする中、長期保有目的の投資家が割安な価格で暗号資産を購入していきます。
オンチェーン・メトリックと外部要因
ブロックチェーン技術の利点の1つは、ネットワーク活動に関する詳細なデータを誰でも取得できることです。
アクティブなビットコインアドレス(実際にネットワークを使用している人の数を示す指標)は、2025 年1月から2月の間に 140万件近くから110万件前後に減少しました。このデータは、弱気相場ではユーザーエンゲージメントが低下することを示しています。
同様に、ブロックチェーンネットワークの基盤であるマイニングオペレーションもプレッシャーを感じています。弱気相場では、マイナーが運用コストを賄うためにビットコインを売却するため、ハッシュ レート(ネットワークを保護するコンピューティングパワー)が低下します。
さらに、外部イベントは弱気相場を引き起こしたり激化させたりすることがよくあります。米国証券取引委員会(SEC)は、2025年第1四半期にイーサリアムのオプションETFの承認を延期したため、価格の下落傾向に拍車がかかったとする意見もあります。これは、規制上の決定が市場の方向性にどのような影響を与えるかを示しています。
逆神クレイマー効果
「逆神クレイマー効果」とは、米国ニュース放送局CNBCの金融番組「マッドマネー」の司会者ジム・クレイマー氏の予測が、多くの場合、正反対になることが多い現象を揶揄した言葉です。この現象は、暗号資産市場を含むさまざまな市場で観察されています。たとえば、2024年11月、クレイマー氏がビットコインを「勝者」として視聴者に推奨した直後、ビットコインは大幅に下落し1,300億ドルもの時価総額を失いました。
また2025年1月、クレイマー氏は投資家にビットコインをポートフォリオに含めるようアドバイスしました。その後ビットコインの価格は下落し、「逆神クレイマー効果」に関する議論がさらに活発化しました。
「逆神クレイマー効果」が維持される場合、クレイマー氏の最近のビットコイン推奨は弱気シグナルと解釈され、投資家にとっては要注意となる可能性があります。
注:「逆神クレイマー効果」は、実証された金融理論ではなく、逸話的な観察です。
ビットコインの2025年の弱気相場
2025年1月に史上最高値の109,350ドルを記録した後、ビットコインは徐々に下落し始めます。2月下旬までに価格は28%下落し、78,000ドルになりました。ビットコインは200日移動平均を下回って取引されたことに加え、日次・週次チャートでRSIがダイバージェンスを示しており、テクニカル指標はトレンドを裏付けました。
投資家のセンチメントが悪化するにつれて取引活動は縮小し、恐怖・強欲指数は2022年の市場暴落以来見られなかった恐怖レベルに達しました。オンチェーンデータはネットワーク活動の減少を示し、Bybit取引所のハッキングは恐怖を増幅させ、さらなる売り圧力を引き起こしました。
価格変動、テクニカル分析、センチメントの変化、外部トリガーの組み合わせが、弱気相場となりえる最悪の状況を生み出したのです。
段階的に進行する暗号資産の弱気相場
弱気相場は一夜にして起こるものではありません。投資家が認識し、有利に利用できるように段階的に展開します。
段階 | 説明 |
---|---|
逆転フェーズ | この段階で「お祭りモード」は終焉し、投資家は出口へ殺到します。価格は史上最高値から急激に下落します。 |
底打ちフェーズ | 弱気な投資家が撤退し、長期投資家が買い増すなか、価格は狭い範囲内を横ばいで推移します。 |
蓄積フェーズ | スマートマネーが徐々に動きます。個人投資家が損失の傷を負ったままである一方で、大手プレーヤーは次のサイクルに向けて買い始めます。 |
強気相場への移行 | 最終段階では、ファンダメンタルズの改善と新たな楽観主義が融合します。価格上昇は決定的なものとなり、数カ月維持されてきた主要な抵抗レベルを突き破ります。 |
弱気相場はどれくらい続くのか?
過去のデータによると、暗号資産の弱気相場の平均期間は約10か月ですが、これは市場の状況や分析方法によって異なります。たとえば、2021年から2022年の弱気相場は21か月続き、ビットコインの価格は史上最高値から77%下落しました。
2025年2月下旬の時点で、ビットコインは弱気相場に入り、1月の最高値109,350ドルから28%下落しました。この下落は、規制の不確実性・大規模な取引所のハッキング・投資家の信頼低下によって引き起こされました。
弱気相場が長引く要因とは
弱気相場は、すべて同じシナリオをたどるわけではありません。すぐに終結する場合もあれば、何年も続く場合もあります。こうした低迷を長引かせる要因を理解することで、現実的な期待値を設定し、回復の兆候を早期に見極めることができます。
マクロ経済状況:世界経済で起きていることは、人々が認識している以上に、暗号資産市場に直接影響を及ぼします。例えば、貿易戦争・エネルギー危機・政治的混乱は投資家の信頼を低下させ、暗号資産のような不安定な資産に投資することを躊躇させます。さらに、米国FRB(連邦準備制度理事会)などの中央銀行が金利を上げると、借入コストが高くなり、暗号資産の投資に利用できる現金が減少します。
規制圧力:2025年の弱気相場は、トランプ政権がカナダ・メキシコ・中国・EUとの関税戦争を開始したことで激化しました。また物議を醸したTRUMPミームコインのローンチは、火に油を注ぐように、市場への信頼を損なう結果となりました。権威者からのこのような矛盾したシグナルは、機関投資家を躊躇させます。問題は必ずしも規制自体ではなく、規制が生み出す不確実性です。企業や投資家がゲームのルールを予測できない場合には、状況が明らかになるまで傍観者でいることを選択することが普通です。
市場センチメントと投資家センチメント:暗号資産の恐怖・強欲指数は、2025年2 月に20(「恐怖」)まで急落しました。これにより、否定的なニュースの見出しがさらなる売りを招き、それがさらに否定的な見出しを生み出すという、悲観的なサイクルを生み出しています。
群集心理はこの効果を増幅します。個人投資家は、他の人がパニック売りをしているのを見ると、出口のチャンスを逃すことを恐れて、それに追随することがよくあります。一方、「FUD」(恐怖・不確実性・疑念)は、SNSやニュースを通じて山火事のように急速に広がります。
ちなみに、ビットコインは2010年以降400回以上「死んだ(Dead)」と宣言されており、弱気相場にはこれらの悲観的な記事が数多く発行されます。このような過激な見出しは、必要以上に悲観論を拡大する可能性があります。
逆に、「ホドラー」(売却を拒否する長期保有者)は、より低い価格で資産を蓄積することで市場に安定性を提供します。しかし、その影響が一般的な市場センチメントを克服するには、ある程度の時間がかかります。
- 技術およびセキュリティリスク:2025年2月に起こった「15億ドルのBybitハッキング」は、市場センチメントをさらに悪化させ、中央集権型取引所の脆弱性を投資家に否応なく思い出させました。人々が資産の安全性を心配すると、投資する可能性は低くなります。過去に発生した事件も、今回と同様のパターンを示しています。例えば、2022年の「TerraUSDの崩壊」は400億ドルの価値を吹き飛ばし、アルゴリズムステーブルコインの失敗が長期的な弱気相場を引き起こしました。
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現在進行中の暗号資産の弱気相場について
2025年1月以降、暗号資産市場から3,000億ドル以上の時価総額が消失し、ビットコインがエコシステム全体に波及する広範な売りを先導しました。
ビットコイン(BTC)
主力の暗号資産であるビットコインは、2025年初頭に大幅に調整しました。1月のピークである109,350ドルから28%以上下落し、2月28日には日中最安値の約78,000ドルに達しています。
イーサリアム(ETH)
時価総額で2番目に大きい暗号資産であるイーサリアムは、現在の弱気相場で大きな圧力にさらされており、市場の混乱の中で2,100ドルを下回っています。
アルトコイン
代替暗号資産(アルトコイン)は、この下落局面で最も大きな打撃を受けており、時価総額は年初から43%減少しています。有望なレイヤー1ネットワークでさえ、痛みから逃れることはできません。
また、かつて個人投資家の間で人気だったミームコインは、特に大幅な下落を経験しました。ドージコインやシバイヌなどの暗号資産は、その価値の70%以上を失いました。これは、不確実な市場でリスク志向がいかに急速に消えるかを反映しています。
現在進行中の弱気相場は、暗号資産業界における感情の急速な変化を示しています。1月に見られた勢いは、わずか数週間で不安と売り圧力に急速に変化しました。
このボラティリティは、暗号資産市場が外部の影響と投資家のセンチメントによって大きく形作られていることを、私達に再認識させてくれます。これは、まだまだ発展途上にある資産クラスの特徴です。
弱気相場のときにすべきこと
価格の下落局面では、パニックに陥るよりも準備が重要です。価格が下がり続けると、保有資産を守ることが最優先事項になります。
弱気相場では、ポジションのサイズがこれまで以上に重要になります。単一の資産へのエクスポージャーをポートフォリオ全体の2%〜5%に制限することで、比較的安全になります。例えば、10 万ドルのポートフォリオがある場合、ビットコインおよび暗号資産の投資割合を最大5,000ドルに抑えると、50%の下落局面でも保有資産全体が壊滅することはありません。
また、ストップロスオーダーは、投資の自動安全スイッチとして機能します。エントリー ポイントの15~20%下にストップロスを設定すると、感情によって判断が鈍る可能性がある場合に、強制的に損切り売却を行うことができます。
暗号資産だけでなく、株式や債券などの伝統的資産に分散投資することで、市場の低迷時にも回復力が得られます。
マクロ経済のカタリストを注視する
弱気相場がどのくらい続くかは、多くの場合、外部要因によって決まります。例えば、米国の金融政策は、暗号資産市場にダイレクトに影響を及ぼします。2025年2月現在、連邦準備制度の基準金利は4.25%〜4.5%です。金利引き下げの兆候があれば、国債などの低利回り資産の魅力が相対的に低下し、リスク投資に資金が回ることで、暗号資産の価格が上昇する可能性があります。
また、国際的な政治および経済の動きも、市場全体の動きを引き起こす可能性があります。トランプ政権下でエスカレートする米国とEUの貿易摩擦は、暗号資産を含むすべての金融市場にとって大きなリスク要因です。主要な政策発表は、しばしば市場の急激な反応を引き起こします。
まとめ
2025年の暗号資産の下落は、技術的・マクロ経済的・地政学的圧力が組み合わさったことが原因と考えられます。ビットコインの28%以上の下落は、弱気相場の従来の定義を満たしていますが、一部の専門家は異なる見方をしています。
弱気相場はすべての投資家の自信を揺り動かすものですが、「戦略的な投資家」と「投機家」を区別する良い機会でもあります。この期間を利用して堅実なリスク管理を実施し、慎重に分散投資を行うことが推奨されます。冷静に各指標をモニタリングする人は、市場が最終的に反転したときに有利な立場に立つことができるでしょう。
暗号資産の極端なボラティリティは、両方向に作用することを忘れないでください。価格を押し下げるのと同じ力が、投資家センチメントが変化すると一気に価格を押し上げることを可能にします。下降中に規律を保ち、忍耐強くいることで、暗号資産の次の成長サイクルがいつ到来しても、その恩恵を受ける立場に身を置くことができます。
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よくある質問:2025年の暗号資産弱気相場
暗号資産の弱気相場とは?
弱気相場とは、暗号資産の価格が長期にわたって下落する期間です。基本的には、直近の高値から20%以上下落することを指します。
暗号資産の弱気相場の原因とは?
弱気相場は、景気後退・規制の変更・投資家の信頼低下・大規模な売却などによって、引き起こされる可能性があります。
暗号資産の弱気相場はどのくらい続く?
期間はさまざまですが、弱気相場は市場の状況や外部要因に応じて、数か月から数年続くこともあります。
弱気相場と強気相場の違いは?
弱気相場は価格の下落と悲観的な見方が特徴です。一方、強気相場は価格の上昇と投資家の強い自信が観察されます。
弱気相場中に資産を保護するにはどうすればいい?
ステーブルコインを含めたポートフォリオの多様化や、ステーキング、ドルコスト平均法(DCA)によるリスク管理などがあります。
弱気相場で儲けることはできる?
トレーダーは空売りを行うことで、市場の下落局面で利益を得ます。また、イールドファーミングや低価格で買い付けることでも、市場が回復したときに利益を得ることができます。
弱気相場が終息しつつあることを示す兆候とは?
取引量の増加や、マクロ経済状況の改善、規制に関する前向きなニュース、市場センチメントの変化などがあります。
弱気相場はビットコインとアルトコインにどんな影響を与える?
ビットコインは比較的回復力がありますが、アルトコインは流動性が低くボラティリティが高いため、より急激に下落する傾向があります。
「暗号資産の冬」は弱気相場と同じもの?
正確には、同じではありません。「暗号資産の冬」とは、暗号資産関連のアクティビティとセンチメントが1年以上にわたって低迷する長期の弱気相場です。
弱気相場中に暗号資産を購入すべき?
多くの投資家は弱気相場を購入の機会と見ています。その際には、ドルコスト平均法(DCA)などの戦略を使用することが重要です。
機関投資家は暗号資産の弱気相場にどう反応する?
一部の機関投資家は暗号資産投資を減らしますが、他の機関投資家はより低価格で暗号資産を蓄積し、次の強気相場に備えています。
弱気相場は暗号資産の普及に影響する?
普及は一時的に鈍化するかもしれません。しかし多くのプロジェクトは、下落局面を利用して、将来の成長のためのインフラを構築・革新・強化しています。
ステーブルコインは弱気相場でどのように機能する?
原則、ステーブルコインは法定通貨に固定されたままであり、ボラティリティを回避したいトレーダーにとって安全な避難場所を提供します。
弱気相場では投資家センチメントがどんな役割を果たす?
ネガティブなニュース・恐怖・不確実性は価格を下落させることが多く、投資家センチメントは市場サイクルの重要な要素になります。