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トークンの供給過剰が2025年のアルトコインシーズンを終わらせたのか?

何百万種類ものトークンが注目を集めようと競争しているため、大幅な価格上昇が見られるプロジェクトが少なくなっています。

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Tangemチーム
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アルトコイン投資の変貌

強気相場時にアルトコインを所有するだけで、裕福になれた時代を覚えていますか?そんな時代は永遠に過ぎ去ったのかもしれません。

暗号資産市場は劇的に変化し、トークンの種類は500から驚異的な3,640万に急増しました。この根本的な変化により、暗号資産投資家が市場にアプローチする方法が変わりつつあります。

アルトシーズンとは、アルトコイン全体が長期間にわたってビットコインのパフォーマンスを上回る期間のことです。歴史的に、これは従来の強気相場で発生しており、投資家はより高いリターンを求めてアルトコインに群がってきました。

しかし今では、数千万におよぶアルトコインがローンチされたため、今回のサイクルは異なる可能性があります。

この記事では、トークンの供給過剰がなぜ重要なのか、どのプロジェクトが供給過剰にもかかわらず繁栄できるのか、そして賢い投資家がこの新しいトレンドを乗り切るためにどう適応しているのか、を探ります。

 

暗号資産におけるトークンの供給過剰とは?

暗号資産におけるトークンの供給過剰とは、市場におけるトークンの種類が非常に多くなり、投資家の資本が分散しすぎる状況を指します。これにより需要が薄まってしまい、個々のトークンが牽引力を獲得したり、価値を維持したり、大幅な価格上昇を経験したりすることが難しくなります。

この供給過剰の副作用は、「アルトコインシーズンの弱体化」です。トークンが多すぎると、強力なプロジェクトを特定することが難しくなります。さらに、多くのトークンが投機や短期的な利益のために作成され、「Pump & Dump」スキームが横行しています。

主に、Solanaブロックチェーン上のミームトークンローンチパッド(例:Pump.Fun)により、トークンの作成がこれまでになく簡単になり、供給過剰の一因となっています。一部のプロジェクトは成功していますが、投資家はこれまで以上に投資対象を厳選する必要があります。

 

供給過剰がアルトコインシーズンを終わらせたのか?

トークンを発行して市場の熱狂を利用しようとする人が多い一方で、価格を上昇させるには多額の資本が必要です。

限られた投資資金をめぐって多くのトークンが競合しているため、プロジェクトが明確な勝者として浮上するのがますます難しくなっています。選択肢が多すぎるため、多くの投資家は「どこに資本を配分すべきか」を迷っているという状況です。

この大規模なトークンの急増により、従来のアルトコインシーズンがかつてのように機能しなくなる可能性が出てきました。

トークンの種類が500から3,640万に急増

アルトコイン市場の変貌は、まさに驚異的でした。2013年〜2014年頃には、暗号資産エコシステム全体で500未満のトークンしか存在していませんでした。

伝説的な強気相場の2017年から2018年までに、この数は約3,000トークンにまで増加し、イーサリアム・XRP・ライトコインなどが爆発的に上昇しました。

そして今日では、Dune Analyticsのデータによると、市場には3,640万種類を超えるさまざまなアルトコインが存在します。

つまり、2017年〜2018年のサイクルと比較して、暗号資産の数は12,000%増加しています。暗号資産アナリストのAli Martinez氏は、この劇的な変化を強調し「このような膨大な供給により、市場は大きく変化した」と述べています。

2025年3月10日現在、アルトコインの時価総額は1,010億ドルとなっています。

伝統的なアルトシーズンが二度と訪れないかもしれない理由

アルトコイン全体のパフォーマンスが数ヶ月もの間ビットコインを大幅に上回る典型的なアルトコインシーズンは、もう二度と来ないのかもしれません。この変化がなぜ起こっているのか、そしてそれが投資家にとって何を意味するのかを見てみましょう。

  1. 供給が需要を上回る:基本的な経済原則は単純明快です。限られた資本を追い求める選択肢が多すぎると、全員が勝つことはできません。経済学者のアレックス・クルーガーは、この市場の現実を次のように明確に説明しています。

    トークンが多すぎる。無限に増えている。トークンの供給が需要を上回っている。

    この不均衡により、平均的なアルトコインの時価総額は2021年以降42.7%減少するという状況が生まれました。簡単に言えば、限られた投資資金は、数千ではなく数百万種類のトークンに分散されています。

     

  2. ミームコインの飽和問題:市場の希薄化問題は、ミームコインと低品質のトークンの急増によって悪化しています。匿名の仮想通貨トレーダーであるアッシュ・クリプト氏は、取引所が問題の一部であると指摘しました。

    「市場は希薄化していて、取引所はミームコインを上場させて取引量を増やし、ユーザーベースを拡大しているだけだ。個人投資家はこれらのミームコインを買い付けて、1週間で80%下落するため離脱してしまう。」

    堅実なファンダメンタルズのないミームコインの氾濫により、新規上場トークンの約90%が誇大広告以上の価値をほとんど提供しない状況になっています。

    特に新規投資家にとっては、情報に基づいた選択がほぼ不可能になる地雷原を作り出しているといえるでしょう。

     

  3. アルトシーズンの短縮化:数ヶ月にわたってアルトコインが上昇し続ける時代は、終わりつつあるようです。今後のアルトコインシーズンは大幅に短くなり、数日から長くても数週間続く程度になるのかもしれません。

    これは、以前のサイクルで見られた数か月に及ぶ上昇からの劇的な変化を表しています。これらの短縮された時間枠は、投資家がアルトコイン市場全体で持続的な上昇を期待するのではなく、はるかに機敏に行動し、すぐに利益を確定する必要があることを意味しています。

     2017年や2021年にうまくいった「買って忘れる」という手法は、現在の環境では大きな損失につながる可能性があります。

     

  4. 資本の断片化の影響:限られた投資資本が数百万種類のトークンに分散しているため、大幅な価格変動を促すことがはるかに難しくなっています。この断片化により、強力なユースケースとストーリーを持つ少数のアルトコインプロジェクトだけが生き残るという、厳しい現実が生まれています。

Tangemからのヒント:量より質のアプローチ

アルトコイン投資家にとって、希望がすべて失われたわけではありません。市場の進化により、以前のサイクルで機能した「散弾銃で撃って祈る」方法ではなく、より選択的で戦略的なアプローチが求められてるというだけです。

賢い投資家は、新しく上場したトークンすべてを追いかけるのではなく、堅実なファンダメンタルズを持つ質の高いプロジェクトのみにフォーカスしています。

このアプローチは、投資対象を厳選し、トークンのユーティリティ・強力なチーム・利用可能なアプリケーションを備えたプロジェクトに焦点を当てることを意味します。

トークンの取捨選別に効果的である4つの戦略は、以下のとおりです。

  1. ユーティリティトークンを重視:暗号資産エコシステムに不可欠なサービスを提供するトークンは、安定性と長期的な価値が高くなる傾向があります。

    これには、分散型アプリケーション、クロスチェーン相互運用性、金融サービスを促進するプラットフォームが含まれます。

    たとえば、EthereumとSolanaでは毎月何千種類もの新しいトークンがリリースされますが、これらの基盤プラットフォーム自体は、重要なインフラストラクチャのままです。

     

  2. ロック解除カレンダーの追跡:トークン価格に対する最大の圧力の1つは、ロック解除を通じて市場に流入する新しい供給です。2025年だけでも、170億ドルの新規リリーストークンを含む740億ドル相当のトークンロック解除が予定されています。これらのイベントは、価格に大きな下落圧力をかける可能性があります。

    注目すべき例としては、2025年2月のRippleの4億XRPのロック解除(11億3000万ドル)や、Sui Networkの6400万SUIリリース(5100万ドル)などがあります。

    より小規模なプロジェクトでも同様の動向に直面しており、Jito Labs(JTO)とGalxe(GAL)はそれぞれ1130万トークンと518万トークンを流通供給量に追加しました。

     

  3. ステーキング利回りの評価:長期的な価格上昇が不確実になったため、ステーキング利回りはトークン選択においてより重要な要素になっています。持続可能なステーキング報酬を提供するプロジェクトは、価格が横ばい・下落している場合でも収益源を提供します。

    重要なのは、実際のネットワーク活動に裏打ちされた持続可能な利回りと、非現実的な収益を約束する詐欺的マーケティングを区別することです。

     

  4. 機関投資家による採用:スマートマネーを追跡することは、金融市場では常に有効な戦略です。暗号資産業界では、既存の金融企業やテクノロジー企業にどのプロジェクトが採用されているかを特定することが重要です。

    長期的に生き残るのはアルトコインのわずか5〜 10%程度で、機関投資家レベルのインフラストラクチャと規制の明確さを備えたものが先頭を走ります。

    機関投資家による採用は、ミームコインを中心とした個人投資家主導の熱狂とは対照的です。

まとめ

2025年の暗号資産市場は、2017年や2021年のそれとは大きく異なります。何百万種類ものトークンが投資家の注目を集めるために競い合う今、満潮がすべての船を浮かべる時代は終わったようです。アルトコイン市場は根本的に変化しており、それに伴って投資戦略も変更する必要があります。

しかし、これは暗号資産投資の終わりを意味するのではなく、単なる「市場構造の変革」です。暗号資産市場は、数十年前に伝統的な金融市場が経験したことを経験しています。つまり、ギャンブル的な投機が徐々にファンダメンタルズに取って代わられる成熟プロセスです。私たちが目撃しているのは、アルトコインの死ではなく、むしろ必然的な進化といえます。

暗号資産投資家としての長期的な成功には、堅牢なセキュリティが求められるます。25年間の保証が付いたTangemのEAL6+ 認定、防水、防塵、耐衝撃ウォレットで、アルトコインを安全に保管してください。

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著者紹介 Tangemチーム

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